1994年からしばらくの間、年に1度、ギャラリー近くの文化施設で、若い美術家たちとグループ展を行っていた。「何か新しいことがしたい！」という熱望を抑えきれず、ひたすら未来だと思える方へ見切り発車する。ただただエネルギーを燃やしていただけなのかもしれない。当時、私はアラサーと言われる世代。もう若いはないし、かと言って経験は不十分。とても中途半端な立ち位置で悩み苦しんでいた。だからこれまで山口にないことを挑戦し、そこで生まれてくる化学反応によって、自分にも周囲にも新しい風を吹き込ませたいと考えた。このようなやり方を進めていけば、こんな感じになるのではないか？と期待して取り組んでいった。夢に対して行動を起こさなければ何も生まれることはない。ハッキリとしたビジョンはなく、具体的な手がかりも乏しくて、とにかく実際にやるしかなかった。そう覚悟して美術に体当たりを繰り返し、危機と真正面から向かい合ったのだ。
そんな時代の経験は私にとって大きな肥やしになる。自分自身の個性の活かし方を知って、また、仲間づくりに必要なことを学んだ。ただし、この世は諸行無常なもの。いつも変化していくものだ。一度、修得したことも明日には役立たないことの方が多い。そのように考えると体当たりしていく根性こそが一番の正攻法なのかもしれない。やっぱり強い意欲こそが最大の武器になるのだろう。昨日、ひさしぶりに金子司君と会って、ざっくばらんに美術談義する。静かに陶芸に創意工夫の情熱を燃やし、創造力を発展させていくパワーは素晴らしい。頭の天辺から足の爪先まで刺激してもらった。ちなみに彼もこのグループ展の参加者で、あの頃から尖って光り輝いていた。さらに今は成熟して眩しくなるばかり。これからも独創性の高い作品で照らしてください！６月、大阪アートフェアの成功を祈ってます。
■HEART2019の関連企画 県美界隈展 『花』、Y氏とともに 2020年2月13日（木）～3月1日（日） 11:00-18:00 火水定休
