令和の青春時代

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昭和時代の偉大な作詞家と言えば阿久悠氏。私が子供の頃、テレビの歌謡番組では数知れぬほどのヒット曲が流れていた。その中の1つである「青春時代」。たしか小6の時で歌詞の意味もよくわからずに口ずさんでいた。数年前、図書館で借りて拝読した阿久悠氏の著書によると「青春という時代は不確実で不透明で、実に理不尽なものである。この理不尽さは高校野球と共通している。だが、それも誰にも与えられた有限の試練だと思えるから耐えられ、あとになって、ほのぼのさに変わったりできたのである。青春は素晴らしい。だからといって、あの時代をもう一度やろうとは思わない。それほど辛いからである」という文章が書かれていた。

たしかにその通りなのかもしれない。若者とは心技体がバラバラに成長する。すべての面でバランスが悪く不安定なことになりやすい。それでもあちらこちらぶつかりながら、明日を信じて真面目に生きようとしている。いや、とにかく前へ進まねばならないと思い込んでいる。ただただ逃げずに目の前のことをやっていくだけ。だから「青春時代」とは泥だらけに生きる若者たちへの賛歌に違いないのだ。ところで昨日の夕方、ほぼ同じ年の若者が約束なしにここに集まった。LINEとSNSなどの便利なツールを利用せず、偶然なのかそれとも野生の勘なのか、いずれにしても見事ぴったしであった。そして、それぞれが抱えている様々なことを赤裸々に語り合う。嗚呼、なんて瑞々しい会話ばかりなのだろう。私は近くで黙って見守っていた。本気で話し合う若者同士にかける言葉はない。むしろ今も昔も変わらない空気を感じて嬉しかった。このままいつもまでも青春を続けて欲しい。日々、人生に何かを求めて生き続けることを祈った。

■HEART2019の関連企画 県美界隈展 『花』、Y氏とともに 2020年2月13日(木)~3月1日(日) 11:00-18:00 火水定休