イノベーション

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「模写」とは、世間一般的にいうのなら似せて写すこと。実物どおりに写しとることを意味する。これが美術になると先人の作品を忠実に再現し、あるいはその作風を写し取ることで、その作者の意図を体感や理解したりする手段として用いられる。またそれを行うことによって、精神性や様式、技法の伝達を目的としている。したがって模写には再現のための知識をはじめ、技量などのいくつのもスキルが必要になる。だから美術家を志した人は、まず最初にデッサン力や色彩構成力などなど、美術にまつわることを学ぶことから始まる。既存の美術を観察できる能力が身についていけば、美術の素晴らしさを感じられたり、個性を知るための手がかりになるからだ。そう、自ずと美術へ取り組む姿勢が鋭く変わっていく。

だから美術の基礎として大切なのは真似ていくことだ。先人たちの美術をお手本にして学ぶことで、これまでになかった新しい世界が切り拓けていける。温故知新という言葉のように、古きものを訪ねて新しきものを知るのだ。過去にあった様々な作品などに触れていくこと。ただし、すべてをお手本にしようなんて思わなくていい。なんとなくピンとくるものを羅針盤にしてみよう。それまであったものを叩き台にして、少しずつアレンジすることによって独自性のあるもになっていく。既存の要素を新しいパターンで表現していくこと。そのうち自分にしかない物差しが生まれてくる。自分らしい長所を活かしたスタイルで表現できるようになれるだろう。

かつて、ピカソの「良い芸術家は真似をする。偉大な芸術家は盗む」と言っていた。心に突き刺さってくる作品のエッセンスをお手本に真似るのは上達の基本だ。そこから必要なパーツを取り出して、創意工夫しながら組み立てていく。自分らしい個性に行き着くまで好奇心を漲らせて、とことん研鑽を積み重ねながら創作していこう!