コロンブスの卵

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探検家 コロンブスの言葉に「0から1を創るのは難しい。1から2を作ることは易しい」がある。

たしかに美術の世界でも、今までになかった表現を創ることや、新しい世界観を具現化することは容易ではない。何か流行っているものを模倣したり、表層的なものをアレンジしてみたりと、先人たちの作品をお手本にすることが多い。なぜなら、そうやって作品の本質に触れることで、独自性の高い作品への第一歩が始まるから。しっかりと本物を肌で感じることで、新しい創造の試金石を得られるのだ。

だから美術においては1から0への挑戦なのかもしれない。どうしても何かの作品の影響を受けているため、その破片を観る人が観ればわかってしまう。意図していなくても類似のものとして観られやすい。簡単にはオリジナリティのある作品だと評価してもらえない。つまり、独創的な作品とは、究極の0点を目指すこと。ただし、これはでたらめにやったらいいのではない。誰もやっていない世界観を見出すこと。ギリギリ美術の境界線と接しているものに、新しいコンセプトなどで裏打ちをして、創作として成り立たせていく。美術で基礎を学ぶのは、このような過程をくぐる抜けて、個性豊かな作品になるからだろう。