我以外皆我師

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創作に思いっきり熱中している人は、みんな美術が大好きな仲間であって、決して競い合うライバルではない。それぞれが自分らしい個性を活かし、いつも心の張りがある人たちなら、打てば響くような近しい関係になれるのだ。お互いに夢を語り合ってワクワクできるし、その人にしかない良さを尊重し合って、美術への好奇心は掻き立てられていけるはず。すべての人がそのままで素晴らしい存在だと認めることで、自分も認めてもらえることを理解していこう。そう、どんな人もみんな違う個性を持っている。長所を活かすことに目を向けて、自分らしさを磨くことを大切できるのだ。

11年前、偶然にも知り合った時から、彼女のこのモットーは変わっていない。自分より順調な人が目の前に現れたとしても、いつものようにその作品をジッと見つめては、自分なりに面白いものを発見して楽しんでいる。柔らかく心ゆるやかに触れることで、小さな魅力も見逃さずに肌で感じて、良いと思ったものは称賛していく。また、さほど親しくない人でも同じようにタッチし、あたたかい空気で相手との距離感を縮めては、本音で語り合う身近な存在にしてしまう。嫉妬心や偏見のない公平な心は育った環境で培われたもの。他人と比較しても仕方ないと達観している。この覚悟があるから人のいいところを見て頑張ることができる。みんなと協力し合って進もうと決めているのだろう。

私は彼女のおかげでいくつものことを学ばせてもらった。どんなことでもちっぽけなことに捉われず、自己中心的になってしまう発想もよくない。いつも広い視野に立ってものごとを見つめよう。ましてや完璧な答えのない美術の分野は、出会いの中で多くのことを知って、さまざまな文化を味わっていかねばならない。童謡のメダカの学校じゃないけど、人生は誰が生徒とか先生かがわからないもの。みんな先生で教えてもらうことばっかりだ。これからも若い人から新しい刺激をもらって、豊かな人生になるように努力しようと思っている。