志を立ててもって万事の源となす

f:id:gallerynakano:20200814222608j:plain


「志を立ててもって万事の源となす」。松陰先生のお言葉。何事をするにしても志がなかったら何にもできない。志を立ててから行動することが第一だという意味である。たしかに、何をやるべきかがハッキリと決まれば、あとはそれに向かいひたすら進んでいけばいい。ひとたび信じられるものに出会ったら意欲満々に生きていけるはず。言いかえれば、志を持とうせずに漫然と生きていけない。決まった手順で繰り返し行われることに慣らされて、自分を奮い立たせるものを見失ってはならない。一度きりの人生をどこまでやり尽くせることができるのか。すべてはその人の志が決めていく。

10年前、美術専門学校を卒業する時に「どうせやるんだったら、最初からプロでしょう!」と、まったくの向こう見ずな若者がイラストの世界へ飛び込んでいった。なんとも大胆不敵な行動と言うべきなのか、若さゆえに恐れを知らぬからできたのだろう。いずれにしても待っていたのは予想通りのイバラの道。いわゆるプロを目指していくことはやさしい。しかし、大きなチャンスに失敗したり、作品受注が上手く取れなかったり、流行の波に乗れずに埋没するなど、とにかくぶれずに継続することは難しい。若者は幾度もプロの洗礼を浴びては、厳しい結果に苦渋を味合うことが多かった。

だけど、彼はどんな時も挫けてへこんでは立ち上がる。子供の頃から抱いていた夢は捨てられない。だったらやるっきゃない!彼なりにどうしたらいいのかを勉強し始める。なんでもかんでも目に付いたものに興味を示し、個性が少しでも磨かれるように取り入れてみた。つまり、「書を読みてもって聖賢の訓をかんがう」。ちなみにこれは先ほどの松陰先生の続きのお言葉。聖人や賢人の教えを参考にしながら、自分の頭で考えて道を切り拓くという意味だ。彼の場合は作風を創り出すために試行錯誤を繰り返す。若さのエネルギーを前面に押し出して創作していった。やっぱり勢いがある時は勢いに乗った方がいい。このまま素直さを育んで、愚直さに成長させていこう!