ランナーズハイ

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「好かれようとしているだけなら、いつでも何でも妥協する用意があり、何も達成しないだろう」という名言がある。この言葉がふと目に留まったのは、少し前に語り合った親しい美術家のおかげ。その時の会話をざっくりとまとめると、「自分の作風を極めるために創作活動しているから、それは一般の人にとって魅力的に感じない作品になるかもしれない。だけど、美大の時に芸術へ挑戦すると誓った信念を曲げてやったところで売れる保証はない。だから自分で自分の期待を裏切らないために、ひたすら独創性を追い求めてやせ我慢の連続なんですよ」というような感じだった。美術の世界をとても冷静に見つめながら、決して妥協しようとしない姿勢に好感が持てる。やはり創作をするとはもがくこと。自分の個性でしか表現できない世界を夢見て活動した方がいい。

しかしながら大変なことは、実は面白いことだったりする。マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくるランナーズハイのように、苦しい状態を突き抜けていけば、不思議なもので心地よくなっていくもの。さらに少しでも上手くいったら大いにやる気が生まれてくる。まるでゲームをやっているように、ワクワクしながらチャレンジできるのだ。つまり、美術家にとって限界の限界なんてない。美術家は生みの苦しみ耐えて、新しい世界観を創り出していけるのだろう。

■難波瑞穂展 これから私はあなたとともに 2020年9月18日(金)-27日(日) 11:00-18:00 (最終日 17:00まで)