簡潔さ

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「簡潔さとは才能の別名である」という格言がある。たしか良い美術作品は、そのコンセプトが良ければ良いほど、余計なことを表現に付け加えたりしない。パッと見てシンプルで、しかも観る側に自由に想像できる余白もある。反対にコンセプトがしっかりしていないと、その時々の気分に流されやすくため、行き当たりばったりになったり、すぐに何かを付け加えて説明っぽくしてしまう。

やっぱり美術作品は最小限必要なコンセプトでとどめ、それで想像力をスムーズに刺激するものが素晴らしい。それはシンプルに本質を表現していくことで、鑑賞する人があれこれと自由に楽しむことができるからだ。つまり、美術作品は少しもの足らないくらいの方が楽しめることが多い。ジグゾーパズルの空いたピースを埋めていように、そこに何があると面白いのかをイメージさせること。小さな破片で鑑賞者を触発して、残りすべてを想像させる作品こそが、イマジネーションを豊かにするのだろう。