習うより慣れよ

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ことわざの「習うより慣れよ」とは、あらたまって人から教えてもらうより、実際に経験を積んだり、練習を重ねたりして、体で覚えていくほうが、しっかりと身につくという意味だ。

これはまさに美術のためにあると言っていい言葉だ。知識として美術を教わるよりも、実際に作品鑑賞を通じて感性を磨いたほうが、美術に必要なものが早く芽生えてくる。どういうことに心掛けて触れたらいいのか、その都度、自分なりにころ合いを試しながら、さまざま感覚が楽しめるようにしていく。とにかく、繰り返し作品について考えてみること、よく味わい想像力を深めることが大切なのだ。

近ごろ、暗記力に頼って美術を語る人が増えているように思う。せっかく作品鑑賞する機会があったのに、メディアや画集などの情報に頼ってしまい、自分の感性で作品を楽しんでいない人を目にする。作品の感想は人によって違うもの。それだのにはじめから答えありきで、みんな同じようなことばかり言っている。だからこそ、素っ裸な自分になって、豊かな文化を肌で感じてみるのだ。そうすれば、新しい世界観を発見できたり、美を創造する力が養われていく。ポイントは心の畑に種を蒔いて、いつか実る日が来ると信じること。促成栽培では栄養価が低いものになるだけ。じっくりと感性を熟成させて、人生を豊かなものにしていこう!