みにくいアヒルの子

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「人自分が醜いアヒルだと思っていたころは、こんなたくさんの幸せがあるなんて思ってもみなかった」という名言がある。

この言葉に触れた時に頭に浮かんだのは、美術家を目指す若者のタイプ。自分は美しい白鳥の子だと思う人と、自分は醜いアヒルの子だと思う人の、2つに分かれる。白鳥の子は、自分は美術の世界でやっている美術家だと考えているため、どんどん作品発表の場を求めて意欲的に活動していく。反対に醜いアヒルの子は、美術のことは大好きで活動したいけれど、自分以外は優れた人ばかりで、恥ずかしくて発表できないと委縮している。

近年は美しい白鳥の子だと思い込んだ人たちとよく出会う。それが本物のエリートだったら問題はないけど、実際は自分勝手な思い込みだったらする。たしかに若い時の根拠のない自信は必要なこと。愚直にやってこそ、道は拓けていく。最大限に若さを武器にしていけばいいのだ。しかし、その正体はただ美術を知らないだけ。美術に対しての敬意が足らず、軽くしか思っていないのだろう。その点、醜いアヒルの子だと思う人は、美術界の下部にいると考えている。だから簡単には光を浴びれないことに気付いている。そこでやめてしまう人もいるが、いつしか白鳥になれると鼓舞してみること。つまり、コンプレックスをバネにして、羽ばたける日がくるように、努力することが大切なのだ。