嘘から出た実

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「芸術が真実でないことは、誰もが知っている。芸術とは、真実を悟らせてくれる嘘である。芸術家は、嘘の中にある真実を人に納得させるだけの技量を身につけなければならない」というピカソの言葉がある。
 
私が子供の頃、親戚のお寺の本で見た地獄絵がとても怖かった。今から思えば、それほど恐ろしくはなかったのだが、当時、夜のひとりでトイレへ行けなくなるくらい、凄まじいショックを感じてしまった。そのおかげで、しばらくの間は地獄へ落ちてはいけないと、身につまされたことがある。つまり、地獄があると信じて恐れるから、真面目に生きようと戒めることができる。心の中で渦巻く煩悩を振り払い、お浄土への道を悟らせてくれる。
 
おそらく、ピカソもこんなことが言いたかったのではないのか?実際のところはさておいて、人は目に見えないものを感じて想像できる生きもの。表現している人の熱量によって、例え偽りの世界であっても、リアリティーを感じてしまう。だから想像力を刺激するエッセンスとして嘘が必要なってくるのだろう。