老成円熟

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四文字熟語の老成円熟(ろうせいえんじゅく)。その意味は経験を十分に積み、人格や技量が発達していて豊かな内容を持つことを言う。

昨日行われた高校サッカー選手権の決勝戦。優勝したチームの総監督は78歳で、私が高1の時に同大会へ出場した母校サッカー部が対戦校の監督だった。当時、その高校は準優勝3回を含む5年連続ベスト4以内の黄金期。母校とのレベルの差は歴然としていて、私はあまりのレベルの違い歯がゆさを覚えて、これがきっかけになってサポーター人生が始まる。もし、それなりに善戦していたら、こんな気にならなかった。悔しさから勝手に応援団になったのだ。

それはさておき、この名将は教員退職後の67歳の時に、再び高校サッカーの監督に復帰し、なんとその年に悲願の全国制覇の偉業を達成する。おそらく、人生の大きな宿題を成し遂げるために、これまで積み重ねてきたことを一から見直し、さらに、孫くらい年齢の離れた選手たちを包み込むハートで、その気にさせたのだろう。半端じゃない高校サッカーへの情熱は、テレビに映る姿を観ているだけで伝わってくる。それは決勝戦の決着がPK戦でついた直後にも表れていた。勝利した瞬間、監督を2度ポンポンと軽くたたいて、後ろに下がっていく立ち振る舞いは、素晴らしいゲームの幕切れにふさわしかった。すぐに「かっこいい!」という言葉が頭に浮かぶほど鮮やかなものだった。