さらなる発展

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「即戦力になるような人材なんて存在しない。だから育てるんだ」という名言がある。

1551年4月、サビエル一行は大内義隆に珍しい文物を献上し、それに喜んだ義隆は宣教活動を許可する。ちなみにこの時に献上品の中に布教のために使う絵画と銅版画があったと推測され、作品そのものは歴史の動乱や耐久性から存在していないが、日本で初めて西洋美術が伝来したのは山口市で間違いないだろう。

そんな昔から文化が息づいている街で、3年ぶりに開かれている公募展「やまぐち新進アーティスト大賞展」。これまではその名にふさわしく、過去に大きな賞の受賞者や既に第一線で活躍する知名度のある美術家は対象外で、創作活動歴が長くない未来系の美術家を抜擢している。そのため大賞受賞者の年齢はいずれも40歳未満。まだまだ発展途上の年齢になるだけに大賞受賞はゴールではない。つまり、ここからが本当の意味でのスタート。その名を広く知ってもらい、この土地の風土と文化にもまれながら、美術家として成長できるチャンスを得ただけ。更なる努力を覚悟することを期待し、奨励する賞なのだろう。