危機感

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「常に危機感を持て。これが行き詰ったら何をやるか、いつも心がけておけ」という名言がある。

ほんの少し前、スランプに陥った若い美術家がいた。いつもは明るいキャラクターなのに、どんよりした重い空気を漂わせていた。どうしたのかなあ?しばらくあれこれ考えてみると、なんとなく理由がわかってきた。それは自ら手を上げて出展した公募展で、大賞になった作品のあまりの素晴らしさに、大きなショックを受けてしまったのだ。

嗚呼、なんて素直な人だ!自分にとって都合のいい情報ばかり集めて、不都合な情報を無視しようとする人が多い時代に、厳しい現実を真っ向から受け止めて、ものたらない不甲斐なさを噛み締めている。そうやって受賞作品の良さに敬意を表しているうちに、自分自身にもその良さが染みわたって成長できるだろう。それが人生の面白さ。長い目で見れば目標が高くなって、思いっきり創作していくだろう。