ご縁

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一昨日、「久保修 紙のジャポニスム Kirié 線のかたち」の内覧会へ参加した際に一冊の本を記念品として頂戴する。そのタイトルは「久保修 切り絵画家の半生」。早速、家に帰ってからを拝読してみると、これまで足らなかった知識が補われ、虫食い的な活動歴の穴を埋めていくことができた。点と点が繋がることで面白さは増して、さらに興味津々になっていく。創作人生のドラマを知ることで、少しでも多く知りたくなってくる。
ちなみに本の巻頭にある久保さんのメッセージ。「どんなに新しいものを生み出しても、アートには終わりがない。一つの思いを達成すれば、また何が足らない気がしてくる。若い頃、常に迷い、悩み、自分との闘いが続いている感じでした。そうしたぼくが、何かを考えたときに、必ず影響力のある人に出会って、背中を押してもらってきたような気がします。自分一人では進めなかった人生。人との出会いの力はあまりにも大きく、多くのチャンスを与えてもらったと感謝しています」と綴られていた。
その昔、私は久保さんに質問したことがある。当時、年功序列の縦社会が一般的な時代に、大人のひとりとして扱ってくださったのはどうしてですか?と、質問してみた。すると、「人生は挨拶した人の数だけ出会いがある。挨拶を馬鹿にしてはいけない。そう信じてやってきたから、どんな人にでも気を付けているだけ」と言われて、脱帽させられたことがある。やはり挨拶は人と人との関係を円滑にする。正しくすれば素敵なご縁に繋がる。この文面に触れて、そんなことを思い出す。小さな出会いも大切にする方だ。