好きなことなら手放すな!

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昨夜のNHK Eテレの番組 先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)のテーマは「大田南畝(おおたなんぽ) “豊かに生きる”働き方を!」。江戸時代に爆発的な社会現象になった狂歌(きょうか)。狂歌とは日常を題材をしゃれや風刺を題材に五・七・五・七・七で読む和歌のパロディ。『世の中は色と酒とが敵(かたき)なり。どうぞ敵にめぐりあいたい』と一首を詠んだ江戸を代表する文人大田南畝。日本各地で大流行した狂歌の火付け役として大活躍。しかし、現実は貧乏で暇な下級武士。日々の生活にも困るなか、家計を助けるために狂歌を副業にする。

熱心に行ったのはなんと一円にもならない文芸。その信念はお金のために働くのではない。『何があっても好きなことは手放すな』。幼少期からの夢である漢学者。『私塾の頃からこの子、正に大成すべし』と期待されるほどの秀才と称される。だから才能を活かして生きていきたい。19歳の時に『寝惚け先生文集』という漢詩のパロディ本を発表すると、奇才・平賀源内に大絶賛され、超有名人のお墨付きをもらい大ヒットしていく。その後も和歌集のパロディを次々につくって、天災や飢饉が起こり不安な日々でも、現実逃避するのではなく、日常は悪くないと肯定して楽しみ祝う『日常を言祝(ことほ)ぐ』で、人々の心の独特のユーモアで明るくしていった。

好きなこと自体が仕事になってお金になる。目先のお金を得ることで役立たないものを無駄というが、楽しく笑って過ごす道をまっとうする。つまり、好きになることをこだわっていくこと。好きなこととはいつの間にか好きになるのではない。そうではなくて努力して好きになろうともがいて、どこまでも必然性を求めることが大切なのだ。私は佐々木範子さんの生き方にも通じるものを感じた。彼女はいつも創作のための楽しみを見つけるのが上手い。日常を見つめる目の柔軟さがあって、ひらめき力とそれを具現化する実行力がある。まわりを楽しくするだけでなく、自分も楽しくなるように生きていく。番組を見終わって、佐々木さんの人生のモットーと重なっていると思った。