みすゞ

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昨夜、NHK Eテレ100分de名著「金子みすゞ詩集(4) ことばで響き合う未来へ」の予告編を見たため、それならNHKオンデマンドで過去の3回も見ようとしたところ、「第2回 視点の逆転、想像の飛躍」を面白く感じたので、そのままこの回を繰り返し見続けてしまう。

特に「女の子」という詩は面白かった。『女の子つてものは、木のぼりしないものなのよ。竹馬乗つたらおてんばで、打(ぶ)ち獨樂(ごま)するのはお馬鹿なの。私はこいだけ知つてるの、だつて一ぺんづつ叱られたから』。これは、みすゞが長門から華やいでいた都会の下関へ出てきて、モダンの風に吹かれて、型にはめられたくない思いが強くなったことの表れである。そして、当時、一般的な女性像に対して、ささやかな抵抗というのか、これでいいのか、おかしいはずという疑問が大きく膨らんでいく。その反骨の精神があるからこそ、人々の心に時代を超えて響かせる言葉を見つけることができたのだ。

このような詩やエピソードに触れていくうちに、美術家の臼杵万理実さんの作品が浮かんできた。どちらも独特な視点から日常のなんでもないことや常に変わりゆく季節の風景などをしとやかに表現することを楽しんでいる。ハッキリと見えないものへのやさしい眼差しで、見えない世界に思いをめぐらせながら個性的な世界を創ろうとしている。つまり、目の前の現実ばかり考えていると、だんだん悲観的な感情が生まれて消極的になり、上手くいくものも上手くいかなくなっていく。だから、想像力で大きく視野を広げていくこと。いろんなことが小さな思えるくらい、大らかな心で空想することが大切になる。自分がワクワクするものだったら、それだけで明るい空気が生まれてくるのだ。そんな人の創作物に夢を感じて楽しみたいから必要されるものになるのだろう。