みえるとか みえないとか

f:id:gallerynakano:20220201223151j:plain


先週、Tカードのポイントがそこそこ貯まったので、それに現金を足して本を何冊かネットで購入する。私は真夏に生まれたせいか、とにかく冬の寒さは身に染みて苦手で、1年の中でもっとも活動量が減ってしまう。それにともない読書への意欲も淡白になり、余程のことがない限り、本を手にしなくなるのだ。とはいえ、そうこうするうちに月日は流れて春が近づく。だから、ギアを入れ替えて動き出すために、本を買ってセットアップすることにした。

その中の1冊「みえるとか みえないとか」(アリス館)。この本は親しい美術関係者から勧められた別の本のタイトルが思い出せず、ネットでキーワード検索して調べた際に巡り合う。「なんだか面白うそう!」と、ほぼギャンブルで買ってしまったのだが、これは予想以上に面白くて大当たり。あとはとことん習熟して高配当にしていきたい。

それはさておき、この本は地球人の宇宙飛行士が不思議な星に降り立ち、そこで生活している現地人の身体から生まれる価値観のギャップに戸惑いながらも、それらをそれぞれが尊重し合うことによって、既成概念にとらわれずに多様な視点で触れることの素晴らしさを発見していく物語。最後に「うーん、うちゅうも ちきゅうもいっしょだなー、おなじところを さがしながら ちがうところを おたがいに おもしろがればいんだね」という言葉に集約されていて、読み終わった後に、もしかしたら、宇宙の遥か彼方を旅しなくても、この山口市もしっかりと目を凝らして見れば、たくさんの多様な文化と出会えるのかもしれない。また、「みえるとか みえないとか」って、まさに美術の世界を言い表す言葉で、このことに創る人も観る人もこだわるしかないのだと思った。