もじる

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「もじる」とは、既存作品から要素を拝借してつくること。一般的によく知られた作品の言いまわしなどをもとに、主にパロディのようなものを加えて違った表現していく。本質を押さえながら言い回しを換えて構成し、ウィットやユーモアが豊かに織り込んでいることを指す。
ここのところ、巧みにもじることのできる人が減りつつある。なぜなら、何かをもじるためにはさまざまなジャンルに精通して、幅広い分野に造詣が深くなければできないからだ。今はスマホで多様な情報が簡単に入手できる時代。いつも何かの話題が提供されるため、自分から何かを創り出さなくても、それなりに楽しく過ごせてしまう。また、人生で必要な基礎的な知識がなくても、その場で検索して調べれば済むので困らなくなった。
だから、小さなひらめきによる言葉遊びは絶滅の危機にひんしている。スマホありきの生活に依存すれば、答えしかない知らない世界に浸り、ものごとを理屈ばかりで図ろうしたり、道理を振りかざして固執しやすくなる。いわゆる融通という曖昧にしながら触れていく余裕がなくなる。白でなければ黒であるような単純な思考で、その間の価値観を省略しようとしている。つまり、自分と違った発想や主義を排除せずに、寛容に受け入れることが豊かさに繋がる。もじることへの意識を高めていって、ユニークな感覚を育みながら、自分らしい視点で日常を包み込もう。