遙かなる時空の中で

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約20年前、ある障害者支援施設で始まった工芸活動に関わったことがある。それは現場で働いていたリーダーの方から「もっと利用者さんに夢を与えたい」と直訴され、少しでも豊かに生きるために実用的な工芸に取り組み、いずれフラットなステージで作品展を行うことを目指した。いつも狭い世界に閉じこもり気味の人たちに、新しい選択肢になっていくことを信じて、全くゼロから始まったプロジェクトだった。彼らが作品つくりによって少しでも社会と結びつくことを願った。ただし実際は想像以上に一筋縄ではいかないことばかり。いくつものクリアすべき課題に直面し、また、リーダーの方が定年退職してしまったため、ついに志半ばで撤退を余技なくされる。残念無念という気持ちが沸き上がると同時に、経験不足だったことを反省させられる。そんな硬いアイディアでは突破口は開けない。どうしたらいいのかについて、まだまだ実力の足らなさを知らされる。

それから約5年経った頃、ひょうたんから駒が出るようなことがあって、これまでと違う施設で再び同じ挑戦が始まる。正直、リベンジのステージに立てて本当に嬉しかった。やはり年齢を重ねないとタイムリーな発想は生まれない。いろんな出来事はすべて成長するための学びなっていくはずだ。今度こそこれまでの枠から飛び出し、いろいろなことを一つ一つ手に入れて、創作への夢を広げていきたい。みんなにとって面白いものになるよう、しっかりと個性を磨いて育みたい。そんな思いに掻き立てられてから約10年。生きている間は、常に夢と希望を持つことの大切さを実感する。想像以上の展開になってきた。この流れのまま進めるように努力あるのみ。そして、文化として根付けるように、いくつもの高い壁を乗り越えて、独創性を見出すことが目標だ。

■公文知洋子 × 今本由実 with てごや展 2020年1月31日(金)~2月9日(日) 11:00-18:00 定休日 2月6日(火)、7日(水)