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美術家として自ら守らねばならない行動基準とはなんだろう?おそらく答えはひとりひとり違うから、そこにはいろんな答えがあるだろう。その人にとって創作と向き合うための理由はさまざまであることが当たり前。自分らしい価値観が見いだせることだったらなんでもいい。「これが創れるなんて最高!私って天才じゃない!」と素直に自分で自分を褒めることはありだ。それは自惚れじゃなくて、創作に必要なモチベーション。誰かに好かれなくたっていい!助けて欲しいけど、助けてもらわなくていい!私はこれを好きでやっているのだから放っておいてください。それくらい肩肘を張っていた方がいい。鑑賞者に好かれるように媚びへつらっていけない。思いっきり好きなように描いて、好きなように表現する自由こそ、美術家の特権であって醍醐味でもある。そんなメッセージを作品から感じられた。
このたびのグループ展に急遽出品をお願いした人がいる。広島県在住の美術家 にしもとまゆこさん。昨年12月に開催された県美展に「FRAME(フレーム)」の作品で入選を果たす。私は県美展の初日にギャラリーにご夫妻に来られて、ぜひ作品を観た感想を聴かせて欲しいと願い出られた。そこで会場へ行って作品とご対面。想像以上にパンチ力が伝わってくる。創り手の思いが溢れていて、粗削りで強烈なインパクトがあって、これからどうなるのかが楽しみだ。自分の考え方を表現しようとするものの、なかなか理想のイメージ通りにならない。ハンディキャップをテーマに、既存にないものを求めて、真正面からぶつかっていく。自分のためだけに創作したいという動機ではない。本気で弱い者の味方になろうとしている。この世にある不条理や理不尽さが許せないという、実にシンプルで子どものような純粋さがベースにあるのだ。つまり、自分にできる一番たくさんの素敵なことがやりたい。美術によって最大限にできることを目指していこうとする姿に共感を覚えて抜擢してみた。