明るい表通りで

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昨日最終回だったNHK連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ。このドラマの全112編にあった様々な場面を、1つ1つパズルのピースのように繋ぎ合わせると、だんだん心がくすぐったくなって、自然と笑みがこぼれてくるようなエンディングでした。とにかく、ドラマが始まった頃からの肝心なシーンを掘り起こし、細切れになったとばかり思っていたものに、新たな息吹をもたらして美しく物語に仕上げていった。よくもまあ15分間という短い時間にこれほど多くの要素を盛り込んだものだ。思わず「そうだったのか!」と、予期せぬ推理小説のような展開あれば、駆け足で一気に進むごたごたに紛れて、最終着地点へ向かって強引に進めたやや陳腐なものもあった。
まあ、何はともあれめでたしめでたし。ハッピーエンドになった結末に喜んだ視聴者も多かったはず。ここ最近、暗いニュースばかりが目立つ中に、清涼飲料水のような爽やかさをお茶の間に届けたことだろう。私はこのドラマから学んだ教訓を2つ挙げるとすれば、まず最初は大部屋俳優の虚無蔵の「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」だ。3人のヒロインがそれぞれラジオ英会話と向き合い、その絶え間ない努力によって語学力を習得し、それによって運命を切り拓いていった。
そして、もう1つはドラマの中で数えきれないほど流れた「オン・ザ・サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」。自分らしく真っ裸に生きるのか、それとも、自分をよそおって見栄で生きるのか。正直さだけでは生きづらい。だけど、嘘をついていたら不安しかない。お天道様の下を堂々と歩いていくんだ。それだけで何かが良くなる。歩んでいく道の先には希望が待っている。そんな感じの歌がドラマに味わいをもたらし、見る人に明るい元気を育んでいったのだ。ごくありふれた日常の中に、さりげなくしあわせはあるんだ。いろんなことを感じて考えることができた素敵なドラマだった。