行間

ツーカー」という言葉がある。これは互いに気心が知れた者同士なら、ちょっと言うだけで通じ合うさまのこと。それ故に曖昧な表現のやり取りであっても、ものごとが以心伝心でわかり合えるほど、洗練されたコミュニケーションができる状態を言う。いわゆる多くの言葉を費やして細かく語りあったり、いちいち噛み砕いて具体的に説明しなくても、何が言いたいのかが通じ合えれば、目と目で通じ合うような理想的な関係のことだ。

ところで、美術鑑賞とは美術家がニュアンスで伝えてくるものを察して感じること。作者から作品へのメッセージをそのまま理解すればいい訳ではない。さまざまな視点から見つめたり、見えないものを感じたりして、いろいろな面白さを発見していって、想像力を働かせることが鑑賞の醍醐味。単純に表層的なものばかりを追いかけないで、文字で表せない世界観から伝えたいことを感じるのだ。つまり、表面に見えているものがすべてではない。その奥にある真理を楽しんで鑑賞していこう。