自由

『芸術は「通俗」であってはならぬが、いかほど「俗悪」であっても良い。人間自体が俗悪なものだからである。むしろ俗悪に徹することだ。素朴や静寂に徹するよりも、俗悪に徹することは、はるかに困難な大事業だ』というのは坂口安吾の言葉である。
芸術は世間一般の人々にわかりやすく親しみやすくなってはいけない。だから常識の枠からはみ出したものが良い。なぜなら人は誰ひとりとして同じ人はいない。それぞれが違っていて、独自性のある個性の持ち主だ。それなのに、世間一般の人々は全体主義を好む。みんなで集団で固まることを第一にする。

つまり、自分らしく生きる道をまっとうしようとしても、世間様のがんじがらめのプレッシャーの前に屈し、自由奔放に大手を振って生きていくことは難しい。それでもその厳しさに耐えてエネルギッシュに生きていこう。誰もが歩む道というカラクリから抜け出し、自分の堕落の道を真っすぐに進んでいくだけだ。私がこのように言葉を感じている。安吾の著書を読むと島国根性が大嫌いなことがよくわかる。たしかに仰せの通り!今も変わっていないことの方が多くあるように思う。