怠け者になりなさい

漫画家 水木しげるの著書の1つ「幸福の七ヶ条(幸福論)」。水木氏は波乱万丈の人生を歩み続けて、苦境に立たされた時も、常に前を向くて希望を見失わなかった。人には大らかに、自分には厳しく、いま自分が歩んでいる道を大切にする。いつまでも謙虚に学び続けているうちに、幸せになるための知恵を七か条にまとめた一冊だ。
その中の第六条は「怠け者になりなさい」。若い頃は火の玉みたいに頑張らんとイカン。でも中年を過ぎたら愉快になまけるクセをつけんと、いつまでもシアワセになれないという意味である。つまり、若い時はいろいろなものを吸収するスピードが早い。初めて触れるものが多く、好奇心は掻き立てられ、夢と希望を羅針盤に積極的に行動していける。
 これが中年を過ぎた頃になってくると、気持ちはあっても身心の動きが悪くなる。年齢を重ねるに連れて気力と体力が低下し、何か新しいことを始めるのが億劫になってくる。エネルギーを燃やす力が弱って、惰性に流されてしまいやすい。だから、本質的なことに集中していくために、肩の力を抜いてボーッとしてみよう。そうすれば、乗り越えるためのパワーが湧いてくる。無理が利かなくなったことを自覚し、休むことで瞬発力を高めてから、やるべきことに取り組んでいこう。