なまけ者になりなさい

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独特な画風と奇想天外な物語を描く漫画家 水木 しげる。「ゲゲゲの鬼太郎」などの作者として知られている。また、自身が世界中を旅して多種多様な文化に触れ、いろんな民族の人たちを観察した体験から生まれた「幸福の七か条」の著者としても有名である。その中の第六条に「なまけ者になりなさい」がある。これは簡単に言うとのなれば、俗界の煩悩を洗い清めなさいだ。「容姿」や「美食」など、インスタ映えするものより、美術への好奇心だけを優先していく。巷の流行りものなんてどうでもいい。泣く子も黙る世間様の価値観には背を向けて、ただひたすら大好きなことに集中することが大切だ。

それはいわゆる世間一般の評価や勝ち負けから距離を置くこと。今、自分がやっていることが本当に素晴らしいと思えるのなら、そのままぶれずに貫き通して生き甲斐にする。美術世界で生きていけることを喜びにすれば、一般社会の価値観が気にならなくなってくる。世間体というプレッシャーから解放されれば、無理に見栄を張って生きずにいられる。余計なものを脱ぎ捨てて裸になって、楽しいことに熱中できるだろう。積極的に美術の世界に入り込むことによって、創造できるものは大きく広がっていくのだ。

つなり「なまけ者になりなさい」という言葉の意味は、 最優先にやりたいこと以外は清く諦めていくこと。なんでもかんでもひと通りできるマルチさより、ある分野だけしかできないスペシャリストを目指す。美術のためにその他は必要最低限のエネルギーで、最小限度の時間しかかけなくてすませていこう。「あの人は美術家だから仕方がない」と、周囲が美術しかできないことを、肯定してもらえるくらい徹底すること。とことん愚直になって創作することで、どんなふうに見られても問題はない。半端なことにならないように真っすぐに進もう!