冷暖自知

禅語にある「冷暖自知」(れいだんじち)とは、うつわに入っている水を、ただ見ているだけでは、冷たいのか暖かいのかを知ることができない。実際に自分で飲んだり手につけたりして、初めてそれがどのくらいの冷暖なのかがわかるように、真の悟りに至るためには修行を積み重ねて、自分自身で経験していくうちに感得するものという意味である。

まさに美術家を目指して創作活動していく人のためにある言葉。現代はさまざまな美術情報が巷に溢れている時代。ネットなどを通じて触れていけば、いくらでも知識を得たような気持ちになれる。しかし、どれだけ美術情報を収集したところで、本当にわかっているのかは別のことだ。

創作活動を実践していく中で、自分が属する専門分野だけではなく、広くアンテナを張って情報を集めること。こうような積み重ねをするうちに、自分に必要なものが発見されていく。常に何かを勉強する意欲を持ち続け、いろんなことに積極的に取り組み、創意工夫しながら未知の世界へ挑んでいく。本物の力、真の実力を養うために、自分の感性を磨いて創造力を発達させていこう。