最大多数の最大幸福

「最大多数の最大幸福」という言葉がある。これは一人ひとりの幸福を足し合わせ、全体の総量としての、みんなの幸福を最大にする行為が望ましいとすることを指す。この場合の幸福とは快楽のことで、対極の苦痛は不幸=悪で、つまり、ある行為のもたらす快楽と苦痛を計って、総量で快楽が最大になるような行為を選ぶことが正しい選択とされるのである。

しかし、「最大多数の最大幸福」を実現するためにある行為を選んだ時、社会全体の幸福の総量になっても、その社会のメンバー全員が利益を得るとは限らない。大部分の人たちは幸福を実感できるけど、一部の人は損をしたり不幸と感じるケースも起こりうる。幸福の基準である快楽を量的に計算してみたけれど、そこにある質の間には質の差があるため、質の低い快がどれほど集まっても、少量の質の高い快に勝ることはないのだ。

 ところで、山口県美術展覧会の応募作品は、3名の審査員に命運が委ねられている。そのため審査員は、山口県美術界にとって「最大多数の最大幸福」になるように、厳選して質的に高くしなければならない。だけど、このことは簡単ではない。限られた時間で、初見の作品の善し悪しを判断するのは至難の業。神様じゃないからすべてをお見通すことはできない。だからこそ、このたびの審査結果は素晴らしかった。「最大多数の最大幸福」の条件がかなり満たされたと言えよう。これからも将来