備忘録

一昨日まで個展をしていた川部那萌さんについての備忘録。2000年6月、川部さんは山口県北浦地区の美しい海のすぐそばで、今宵なく波乗りを興じる両親のもとに誕生する。とにかく、自然豊かな地域で、春夏秋冬を否応なしに肌で感じ、いろんなことを体験しながら成長していく。そう、川部さんに観察力を鋭く鍛えて、小さな世界を発見できる原点は、生まれ育った場所にあるのだ。

高校時代、いつも目にしている何気ない景色を記録しようと思い立ち、お小遣いを貯めてデジカメを買って写してみたところ、自分なりに切り取った画像に感動する。ばらばらぶしか見えていなかったものが、実は繋がっていたり、具体的に知っていると思っていたことが実は抽象的だったりと、自然を写していけばいくほど、新しい世界観を次々に発見して驚きの連続を繰り返す。

そうなんだ、カメラが写して見るものには現実と空想の二つがある。どちらも本当で、どちらも正しい。答えを曖昧にしようとは思わないけど、どちらかの価値に限定する必要はない。ハッキリとした答えを出すよりも、いろいろな答えを考えながら、胸をワクワクさせる方が面白い。こうして始まったカメラとの夢と希望の旅。自分が楽しいと思えることを表現できる写真の世界へ踏み出していった。