その昔から時々「なぜ、自然の風景を絵で描いて表現するのですか?」という質問をされる。この答えは無限に存在する。人それぞれ自由な見地から言えばいい。その人なりに考え出せば、それがその人の答えになるのだ。そこで私の回答は次のとおり。人は何かを見た時に頭で判断してしまう。それが何かを知識や常識で意味付けしていく。そうすると、現実の出来事を言い表すことができる。しかし、それはその人が感じて生まれてきた言葉ではない。感覚的に触れて浮かんできたものではない。

いわゆる画家とは、自然の風景の素晴らしさを色や線によって、創造的に伝えようとする職業。自然の表面に隠された本質の美をさまざまな様式で表現していく。直接見えないものの輪郭線を感じさせ、現実だけでは味わえない刺激を創り出すのだ。つまり、すべてことが見えていると思ってはいけない。まだまだ見えていないこと、気付いていないことがたくさんある。それらを絵で描いて感じさせていくこと。不思議な感覚で好奇心を掻き立てられる。リアルと空想のどちらも楽しみましょう!と言っている。