志定まれば、気さかんなり

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは、プロ野球の名将だった野村克也氏が好んだ言葉。いわゆる負けてしまう時には、ただ漠然と負けるわけではなく、その試合中に必ず何か負ける理由や要素がある。一方で勝った時は、試合中にさまざまな条件が有利に働き、思いがけない幸運に恵まれやすいので、 すべてが上手くいったとして慢心せず、反省点を見つけることが大切だという意味である。

ところで、このたび開催されたWBC侍ジャパンは、米国代表チームに勝って王座を奪還する。その戦いぶりはことわざの勝って兜の緒を締めよのように、頂点を目指して選手たちが一丸となって、どこまでも謙虚な姿勢で1試合1試合を丁寧に戦い抜いて、世界一の栄冠を手にすることができた。自分たちの能力が最大限に生きるように、常にいろいろなことをかえりみては改善し続けたことが実ったと言うべきことだろう。

つまり、不思議ではない必然的だと言っても過言ではない勝利だった。それはこの決戦前に、大谷翔平選手がミーティングで「僕らは今日、越えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは、彼ら(メジャーリーガー)への憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう。さぁ、いこう!」と語った言葉に象徴されている。最初から最後まで、勝つべきための志が素晴らしい。それがチーム全員に浸透していった。そして、私たちにもその熱い魂は届いた。これからみんなで日本を熱くしていこう!