みんなちがって、みんないい

「みんなちがって、みんないい」とは、金子みすゞの有名な詩の一節で、当時の女性は自由に個性を発揮することが許されず、やるせない気持ちをさりげなく表現したもの。つまり、誰とも異なる生き方をしてもいいんだよと肯定して、それぞれの違いを受け入れて認め合おうという意味で使われた言葉だ。

あれから一世紀経って、今はそれぞれの個性や自由を認めるだけではなく、それらの性質を活かす取り組みとして、ダイバーシティ(多様性)が広く認識されるようになってきた。特に、新型コロナウイルスの影響によって、急速な社会構造が変化してきたので、働き方や価値観などの多様化が一気に進んでいった。

もちろん、美術を取り巻く環境も同じこと。そもそも表現の自由の世界であるうえ、さらに、その表現の自由がバージョンアップされた。虎に翼、歓迎すべきことだ。だからこそ、どんな時も自由に創作活動するために、自由に表現できる能力を磨いていく。新しく高いレベルを目指さなければ、無責任の自由になってしまうだろう。思いっきりやっていい時代。思いっきり鍛錬することが大事だ。