熱狂

その昔、ご縁で商社マンとお会いする機会があった。ただし、バリバリのエリートではない。どこにでもいそうな平凡な風情。しかしながら、取り扱う商品の説明力は素晴らしくて、ストロングポイントを理解することができた。とても丁寧でわかりやすく、どんどん興味が湧いていき、ワクワクしながら聞き入ってしまった。
ちなみに、画家の佐々木範子さんもこの商社マンと同じタイプ。来場者の感想も真摯に受け止めながら、自身の作風を楽しんでもらおうと努力する。とにかく美術について語り合うのが至福の時。いろいろな人と美術談義を楽しみながら、少しでも美術愛好者が増えることを願っている。
つまり、何かに夢中になっている人のそばにいれば、その世界の魅力に惹き込めれていく。本当に良いものだと信じる力は、自然と周囲に影響の及ぶ範囲が広がる。人は知らず知らずのうちに、その場所にある文化に染まりやすい。影響を受けていないつもりでも感化されていく。だとしたら本気で何かに惚れている人と積極的に関わろう。その世界に没頭できる人のそばにいれば、美術を愛する力が自然と強くなるのだろう。