心構え

先週、美術作家が創作する時の心構えについて意見を求められた。このことは作家たち各自のポリシーを尊重すべきで、どうのこうの外から言うことではなく、それぞれが自由なスタイルで取り組んだらいい。しかし、それでは質問の回答にならない。そこで、どんどん作品を売って稼いでみたいとか、世に出て有名になってみたいという考え方はよくない。そのような考え方をしていると、結果主義的な行動に陥っていく。自分らしい作品制作と向き合うよりも、作品の評価を気にした制作になる。流行りや売れ筋に焦点を合わせて、本来持っている力を委縮させ、個性を失わさせていく。

だから、まず自分の器を広げていくことを意識してみる。独自性のある作品制作をするには、それなりの度量にしなければ、力量以上のパフォーマンスを発揮することはない。さまざまなものに触れていきながら、切磋琢磨して自分自身を鍛えていく。理想に近づくために課題を一つひとつ乗り越え、創造力を大きく広げようと前向きにチャレンジするのみ。自分の小さなプライドにこだわって、向こう見ずのままでいると、コンプレックスの塊になるだろう。常に潔く現実を受け止める。今できることに集中していく。好きなことをするのだから、どこまでも楽しむ気持ちが大切だと持論を語った。