風土

先日、新聞の記事で開業45周年を大きく取り上げていただいたことで、ギャラリーという仕事についてあれこれと聞かれる機会が何度もあった。私はそのたびに「山口市という大内義隆の頃から文化の歴史が脈々と続く地の利のおかげです」と言い、さまざまな文化を楽しむ人たちがたくさんいることに支えられている実態を伝えた。

いわゆる美術作品というものは、一般的に流通している商品と違って、なかなか簡単には売れることはない。普通の商品だったら売れ筋とかニーズなどがあるけど、美術作品は個性的なものであるため、観る人の触覚を響かすことができなければ、けんもほろろなんてことは日常茶飯事。フィーリングという目に見えないものが大切になるのだ

つまり、美術作品の販売とはごくごくデリケートなもの。例えば、どんなにいい作品であっても、巡り合わせが良くなければ、見送られてしまうことがある。かと思えば未熟な作品であっても、将来性を期待して引き立ててもらえることもある。やはり、出会うタイミングが上手くいくかどうかだ。ギャラリーはそのかいくぐりの連続。それができるのはこの土地の文化への意識の高さ。肯定的に感じる人たちの懐の広さに育てていただいているからだろう。