ダイナシティ

昨夜のNHK Eテレ『ロッチと子羊 迷えるあなたに哲学を』は、子どもと若者お悩み白書の中から「心と体の性の悩み」を取り上げる。ここ数年、性的少数者であることを示すLGBTQ+という言葉が浸透し始め、セクシュアリティの多様性が少しずつ認められているが、まだまだ一般社会での理解は不十分で、自分らしく生きづらいと感じる人たちは悩みを抱えたままだ。

そこで山口大学 小川仁志教授はこの問題解決のヒントになる哲学者として、社会の中の生きづらさを研究したフーコーの「実存の美学」をチョイス。フーコーは「芸術家の絵画は、芸術作品と言うのに、なぜ私たちは芸術作品と言えないのか。自分を世界で唯一の芸術作品にする。そんな生き方こそが、実在の美学ではないか」と言い、どんな人も世界に2人といない個性を持った存在だから、人は誰でも芸術作品であるはずと説いて、自分の好みは個性だして同性愛をカミングアウトした。

つまり、フーコーはありのままに生きるということは、どういうことなのかを突き詰めていく。そして、この考え方が一つの突破口になって、心と体の性の問題に少しほど風穴を開けて、幅広い価値観などが共存する社会への礎を築いたのだ。人それぞれの個性や自由を認めて、それらの性質を活かすことは今も簡単ではないが、こうした先人の努力によって、多様性は育まれたのだろう。とてもいい学びの時間になった。