恥を掻く

太宰治の言葉に「作品を発表するということは、恥を掻くことであります。神に告白することであります。そうして、もっと重大なことは、その告白によって神からゆるされるのではなくて、神の罰を受けることであります」がある。

そう言えば、20代の頃は山口の美術界に革命を起こすくらいの気合いが入っていた。当時、自分にはまったく関係ないバブル景気だったこともあって、漠然と未来が明るく見えていたことと、世間知らずは怖いもの知らずなので、知性的に考えることができず、感情的に熱くなって、力尽くに新しいことをやろうとしていた。

つまり、どこにでもいる向こう見ずの若者。知識も経験も何もかも足らないのに、勝手にこの世界でやっていけると思い込む。今から振り返ってみると、顔から火が出るではなく、全身から火が出るほど恥ずかしい。だけど、この言葉に触れると王道を歩んでいるのかもしれない。道なき道を求めた結果、一般社会からはみ出てしまい、この世界の中へ進んでいくしかなかった。もしかして、これが神様の罰ならとても粋なこと。本当にそうだと肯定できるように、これからも自分らしく生きていくぞ!