大胆な視点

「過去をより遠くまで振り返ることができれば、未来もそれだけ遠くまで見渡せるだろう」という格言がある。

私が子供の頃、山口情報芸術センターYCAM)がある場所には市民球場と県立体育館があった。そこでプロ野球のオープン戦を観たり、ドリフターズのショーや中学はバスケ部だったので、市民大会を戦った思い出がある。そのせいか、老朽化で取り壊す時はセンチな気持ちになったけど、20年前、立派な文化施設の誕生に心がときめいたことは説明するまでもない。最初は先端メディアアートの発信地に戸惑うことが多かったが、今は時代が追い付いて、主体的に観られるようになった。

先週、なんとなくYCAM前の公園を歩いていると、思わぬものを発見してしまう。なんと野球場の名残があるではないか!・・・というのは冗談で、この角度から画像を写すと内野と外野の境目みたいに見えてくる。人は足らないものを観ると想像力が湧いて、実際にないものをあるように感じていく。知識で観てしまうと本当のそれ以外何ものでもないが、楽しむ心で1つ1つ丁寧に触れれば、これまで気付かなかったものと出会える。新しいことは大胆な視点からできているのだ。