唯我独尊

いわゆる美術には数学のようなハッキリとした正解がない。例えば、課題に対して上手く絵を描かれていれば、それでいいという単純明快な評価なんてない。作者が絵に込めて伝えたかったことや絵にすることで美しいものを再発見させることができなければならないのだ。

しかも、それらの正誤基準は人それぞれで万能なものでないため、ある人にとっては正解に感じられても、ある人にとってはしゃんとしないものになったりする。つまり、さまざまな創造を寛容に受け入れる世界なので、人によって評価が変わることを尊重して、いろんな答えを楽しむことが大切になってくる。

私は創作する人は正確な表現力よりも意欲のあることが第一だと考えている。正確に答えを導くようなことにこだわると、それは過去にあるものを引き継ぐだけで、そこから新しいことは何も創り出せない。それよりも失敗を恐れずにチャレンジすること。たったひとつの自分にしかない答えは何かを求めてみよう。いつも美術の不思議さや面白さを探究していけば、そのうちに独創的なものと出会えるだろう。