無心

仏教用語の「無心」とは一つのことに精神を集中して、取り組んでいくことを指す。いわゆる自分自身を必要以上に大きく見せようとしたり、またはその逆に実際の自分自身の姿より評価を低く見積もるなど、心に邪念があると妄想や執着に縛られて、深遠の境地に辿り着くことはできない。
つまり、あれこれと余計なことを考えてはいけない。損得勘定で物事を判断していくと、合理的になって、自分にとって本当に大切なことに、十分な思慮と関心を持つことが難しくなる。故に、雑念に捉われることなく、在りのままでいればいい。いつでもどこでも自然体で生きればいいのだ。
ただいま個展開催中の中野寿子さん。彼女はいろんなことに迷い悩み苦しんでいるけど、ある程度に達したら「しゃあない」と心をリセットして、そこから今やるべきことに没頭していく。人はどんな現実に直面したとしても、自分らしく精一杯生きるしかない。そんな極意を知ってか知らずか、寿子さんは最善の努力を尽くしている。だから、作品には魅力を感じる世界観があって、観る人を惹きつけてしまうのだろう。