驕れる者は久しからず

平家物語の一節に「驕れる者は久しからず」とは、たとえ栄華をきわめ絶大な権力を握っていても、地位や財力を鼻にかけて驕り高ぶる者は、その身を長く保つことができないという意味である。

私はこれまで驕り高ぶる人とたくさん出会ってきた。それは大成功してそうなったのではない。どちらかと言えば小さな成功で頭に血が上って「自分には才能があるからもう大丈夫だ」と考えて安心しきって、何ごとも自分のやり方でやろうとする人たちだ。とにかく、自分にとって都合がいいことを第一に動くため、だんだん周囲の人と摩擦が生まれて、ついには愛想を尽かれてしまい、現実が見えない裸の王様になっているのだ。

そして近年は新型コロナの影響で他者との触れ合いが希薄だったためなのか、客観的な視点で自身を知ることが置き去りになる。代わりにSNSの「いいね!」を指標にする人が増えた。これは新手の奢る者。鼻にかけて自己満足していく。そんなことより人生の本質を見直そう。人は誰も年齢を重ねるから常に目の前に乗り越えることがあるはず。要するにずっと変化して生きることを意識しなければならない。この真理にたどり着けば、奢る暇なんてないだろう。