オンリーワン!

この世には誰一人として同じ人はいない。どんなに頼りがなくて、弱々しい存在に思えても、その小さな力がなければ、地球は回ってくれぬ。故にみんながみんな大きな目標を持って、生きた証しを残してやろうと張り切る必要はない。無意味な人生なんてものはないだよ。それぞれのペースで日々を淡々と生きていれば、もうそれだけで十分に尊いことだから、ただただ生きているだけでいい。

そんな境地に至ったのだろうか。かつて臼杵万理実さんが制作した「弱虫でもできること」という作品があった。これは人よりもすぐれたセンスやテクニック、才能などを持ち合わせていなくても、大好きな絵を描くことは何の問題もない。つまり、言い訳ばかりしていないで、今日一日に集中して少しでも努力すべきと決意を表した題名だった。

人生とは実に面白いもの、この時の決心は功を奏して、人生の大きなターニングポイントになった。まずできないことを認めて、そこからリスタートしていく。実際にはできないことをできる振りをしてはいけない。臼杵さんは正直という最善の策を選んだ。心が弱くても虚勢を張らずに、自分らしく生きる大切さをなんとなく感じたのだろう。