月光仮面

1958年2月、元祖ヒーロー番組「月光仮面」がテレビで始まり、テーマソングの『どこの誰かは知らないけれど、誰もがみんな知っている』の歌詞は流行語になり、当時の少年たちはよく口ずさんでいた。その中にヌマさんもいたはず。なぜなら、本名は知らないけれど、誰もがみんな知っている存在。もしかして人生賛歌だったのかもしれない。

そのことを裏付けるのは、ヌマさんと出会って興味を抱いた人たちの質問。「どうやって生活をしているのですか?」と尋ねられるたびに、「金は天下の回りものだからです」と冗談ぽっく答えたのに、「やはり芸術家は違いますね」と約過半数の人は納得してくれた。そのくらい大雑把に言っても構わない。取扱説明書も説明文もなくていい。

つまり、ヌマさんはその姿を見ているだけで、創造力を刺激してくれるものがある。自分がいいと思うものはいいと思って、制約を受けずに自由に生きているから、その純粋な魂が伝わっていく。大人になれば本来の姿で生きにくい。それ故、ヌマさんの自分らしく生きる姿に天然の輝きを感じてしまう。どこまでも自分を貫くこと、これが一番の魅力なのだろう。