大器晩成

昨年末、親御さんに連れられて美術家を目指す中学1年生が作品を持ってやってきた。その立ち振る舞いは如何にもナイーブな感じだったけど、さすがプロを目指そうという意欲があるため、持参した作品について積極的に語ってくれた。もちろん、その言葉はたどたどしく、矛盾した部分もかなりあったが、純粋さが伝わるから問題は何もない。

ちなみに近いうちに18歳以下の全国公募展に出品予定だと言う。今の時代は民間主導で育成ステージがあることを知る。とても良いことだと思う反面、あまり早くから評価されると、その価値観に執着してしまって、そこから抜け出せなくなりやすい。それ故、チャレンジする過程に意義を持って、すべては肥やしで無駄なことはないと進言した。

とにかく、美術家のスタートラインはかなり先にあるという心構えが大切だ。どんな世界でも種を蒔いてから実になるまでは時間がかかるもの。センスや技術、美術に関する様々な知識などは時間をかけて、粘り強く育んでいくことでスケールは大きくなっていく。つまり、慌てて早く完成させる必要はない。大器晩成を目指して努力しようと言って背中を押した。