好きこそものの上手なれ

昨年末、縁あって出会った中学1年生は、見ていて微笑ましくなるほど悩んでいた。いわゆる思春期特有のもので、将来への漠然とした不安を抱えて、ひたむきに取り組もうとしてもがいていた。そこで、今は苦しくて大変だと思うけど、時が解決するから心配ない。この試練に向き合って生きていけば、そのうちなんとかなるとアドバイスする。

そして、こういう時に大切なのは面白くないことと上手く付き合うこと。どうしてもやらなきゃいけないことは、苦手なことでも嫌いなことでも最低限はやった方がいい。もちろん、無理は禁物ではあるけど、喰わず嫌いにならぬようにしないと、人生の選択肢が狭くなってしまう。弱いと思うのなら弱いままで生きれば、力が湧いてくるはずだ。

とにかく、まだまだ未熟なんだから失うものはないから、失敗することを恐れずに挑戦していく。ただし、あくまでもそれは自分に対してで、一所懸命に自分自身で勉強して、理想の美術家を目指せばいい。何かと比較してすぐれているとか、高く評価されることが目的ではない。一番大切なのは美術への愛情が深めること。好きな気持ちを持ち続けることを推奨して、この日はお開きにした。