千里の道も一歩より

f:id:gallerynakano:20200826203425j:plain


例えば美術家になりたい若者は美術大学で学び、卒業した直後から即一人前として活躍する人はほとんどいない。たしかに稀に学生時代よりバリバリに活躍して、それなりの実績を積み重ねている人もいるのは事実だ。誰しもが認めるひときわ目立った存在で、作品展や公募展などでは斬新な作品を発表し、将来を期待されるだけの素質を感じる。期待の新人にふさわしいオーラを放って、自分の作品をアピールできるエリートはいる。

ただし、こういう人は滅多にお目にかかることはいない。もしいるとしたら、たいていは毛並みの良い人だ。本人の努力もさることながら、育ってきた環境にめぐまれている。普通の人と比べたらやり始めのスタート地点が、一歩も二歩もそれ以上も前から全然違っている。だから美術家としての信用があるため、これからやっていけるだろうと思われるのだ。

つまり、大多数の若者は今のところ実績がないけど、これから時間をかけて自分の才能を育てることになる。いや、むしろエリートじゃないことを武器にして、いろいろと手間暇かけて育てていくからこそ、自分らしい独自性のある個性を見つけ出し、美術の世界で通じる表現力のある作品になれるはずだ。ものごとを成し遂げるために大切なのは、自分のペースでこつこうと努力していくこと。早く良い結果が欲しいと、先を焦って急いでしまって慌てたりすると、本質からはぐれて失敗することが多い。大器晩成!でっかいことをする人は、どこか規格から外れているので、才能を発揮するまでに時間はかかるもの。いつも自分のことを信じて、根負けしそうになっても時には、もう一押し踏ん張って創作していこう!