関心力

ここ数ヵ月、ギャラリーには美術家を目指す若者が入れ替わりやって来るようになった。その顔ぶれはほとんど初心者。実際に絵の具や鉛筆で描くのではなく、デジタルで描いた作品をスマホで見せてくれる。やはり文明の利器は素晴らしい。作品制作の基礎知識があまりなくても、それなりに描けるため、参入へのハードルは低くなってきた。

また、今の若い人たちは世の中が成熟しているため、知らず知らずのうちに垢抜けて、まずまずのセンスを持っている。だけど、知識や理論が先行していたり、デジタル機器に支えられたりと、入り口の感受性が芽生える前に、強引に創り出そうとしている。要するに創作への苦悩の痕跡がないから、さっぱりし過ぎインパクトに欠けやすい。

ちなみにこのような若者たちがなぜ来るのかというと、コサカダイキ君がやまぐち新進アーティスト大賞を受賞して、その記念展の際にSNSにここについて書き綴ったからである。そこには専門教育を受けていないのに、これほどのイラストが描くのだから、後ろ姿を追いたくなるのは当然だ。それならそれで頑張ればいい!好きこそものの上手なれ。本気で好きなら創意工夫と試行錯誤は自然にできるだろう。