若木の下で笠を脱げ

先週、この春に大学へ進学する若者とひさしぶりに出会う。おぉ、顔つきは幼さが抜けはじめ、微妙に大人っぽくなって、背の高さはいつの間にか抜かれてしまった。10数年前に知り合った頃は小学1年生だったから、身心ともにすくすくとよく伸びている。この調子でしっかりと生物学を勉強して、社会の一翼を支える人になって欲しい。

そんな彼にせん別の品を渡す。県外で初めて一人暮らしすると聞いていたので、萩焼のマグカップをプレゼントした。その値段は決して安くはない。そのためか少し戸惑った表情を見せた。そこで「普段の意識が高まると感性は磨かれるから、すぐに壊してもいいから使ってください」と言って、手の触覚を鍛えるという意図を伝えたのだった。

とにかく学校のことだけ勉強すればよかった高校時代とは違い、いろんなことにアンテナを張って、自分なりに観察して考えることが大学生の使命だと思う。答えのある課題とのやり取りから、答えのない課題のやりくりへチェンジするから、どんなことでも自由自在に使いこなせる感覚を養うべし。必要なものはすべて今ここに感じるしかないのだ。