シェーン

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先々月のこと、ある学生と知り合う。卒論のために動き回って、流れ流れてやって来た。若者らしい不器用さはあるものの、ひと目でわかる誠実さとガッツ。ヨッシャ、やりましょう!そこで研究テーマに必要な情報を得るためにウチの母を紹介。すると母も調子に乗って知人に声を掛け、さらにベテランの写真家 Kさんにも協力を願った。Kさんからは色よい返事。すぐにここであれこれと語り合った。なんとも微笑ましい時間。孫くらい年の離れた彼女に話せることはすべて話していった。

会談が終わってK氏は帰路につく。その後、しばらく母と学生が余韻に浸っていたら、なんとK氏が資料を持って戻ってきた。それもわざわざ古本屋で買って来たのだ。過去に出版した本の手持ちはなかったが、彼女の熱心さに居ても立ってもいられず、一直線に古本屋に行って、見事1冊しかなかった本を手に入れた。なんて素晴らしいことだ。その優しさに心より感激をした。

それから1か月経った頃にK氏の訃報に接した。突然のこと。大きな悲しみに直面する。30年以上に渡って可愛がってもらった。なにも恩返しできなかった。ただ、最後にK氏とお会いしたあの日、西部劇不朽の名作「シェーン」のラストシーンのように本当にカッコよかった。なぜ、あの後に古本屋へ行かれたのかは、余生を察しての行動だったのかもしれない。人は誰でもつくり話を超える劇的なドラマに出くわすことがある。ただただ普通の日常の一コマ。どこにでもありそうな場面にも、劇的なドラマは存在しているのだ。最後までいろいろなことを教えていただいた。とにかく頑張ります!どうか天国から応援してください。ありがとうございました。合掌