宿命

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10数年前のこと、ある街では雑誌などにイラストを投稿して、何度も採用された中学生がいると噂になっていた。それは小さな街だから噂が噂を呼んで大きく広がっていた。彼女はそんな少年と同じ街で育った。「私と同じ年齢なのに足元にも及ばない」と落ち込んでしまう。実際に中学生と思えない自分の持ち味を活かしたイラスト。とても荒々しい描き方だったけど、将来はプロだと思えるオーラが眩しかった。

その後、彼女は噂の中学生と偶然にも同じ高校に通い、週1回のしかない美術クラブで顔を合わせるようになる。とは言え、思春期の微妙な時期。ほとんど会話することがないまま卒業する。高校時代に特筆するほどの切磋琢磨のドラマはなかった。ただし、彼女の方にすれば、全く太刀打ちが出来ない、力の差を肌で感じる3年間を過ごす。一歩も二歩も遅れていることを自覚させられる。それでも美術はやめたくない!

彼女の創作へのハングリー精神はこうやって芽生えた。素直に「危機」を感じて、生きたいとリバンドさせていく。ピンチをチャンスにチェンジする。芸術短期大学へ進む際に、それなりに覚悟できたことが良かった。周回遅れで始まった宿命のライバル関係。いや、マブダチと言える創作の同志なのかもしれない。同じように美術を選択した二人は、どんなに競い合ったとしても、どこまでも創作意欲を刺激し合う仲間だ。美術を希望に満ちた旅にしていこう!